白昼の惨劇!

「白昼の惨劇…虎のオリに女児侵入」


それはいつもと変わらない、穏やかな午後。
行楽日和の動物園に、観客の悲鳴が上がった。

「大変だ、女の子が虎に!!」

突如として起こった凄惨な出来事に、園内は凍りついた・・・・



事件が発生したのは美空市内にある市営動物園。
園で飼育されているアムールトラ、「通天閣虎夫」くん(オス・6歳)
のオリを破り、女児が単独で侵入した。

虎はちょうど餌の牛肉を食べている最中だったが、
急な侵入者に驚いたらしく、猛然と襲いかかった。
たちまち両者の間に激しい闘争が繰り広げられたものの、なんと勝ったのは女児のほう。
ぐったりとなった虎をよそに携帯コンロのような器具を取り出すと、
悠然とした態度で牛肉の調理を開始した。

数分後、来園客の通報で係員が駆けつけたものの、
激しく抵抗する女児に手がつけられないありさま。
結局、牛肉を食べようとした一瞬の隙を突いて放水を開始。
ひるんだところを5人がかりで取り押さえた。

一方、虎は急ぎ市内の動物病院に搬送されたものの、
全身を強く噛まれており、全治2週間の重傷。

警察の調べによると、この女児は同市内の小学5年生(11歳)。
侵入の動機を問われて、

「(虎は)自分の妹くらいの歳のくせに、いつも牛肉ばかり食べて生意気だと思った」
「ちょうどうまくステーキが焼きあがったところなのに、邪魔されたのは残念だ」


などと強気の供述を繰り返していたが、虎の入院を聞かされると神妙な顔つきになり、

「そんなにひどく噛むつもりはなかった、虎夫くんに謝りたい」

と、しょんぼり。

園では女児がすでに反省の態度を示していることから、起訴を取りやめた模様。

(『美空スポーツ』 10月8日朝刊より)


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