五竜亭とは?
〜What is "Goryuu-Tei"?〜




「ジェダを出て四日。マーカスの森を抜けたところに、その宿屋はある…」

*  *  *  *  *  *

今を去ることX年前、富士見書房より出版された名作中の名作、
『ファンタジーRPGクイズ』(著・編:冒険企画局) シリーズの舞台となった
一軒の宿屋(兼酒場)・・・それが五竜亭。

多くの冒険者たちの集う、憩いの場であり、
学生時代の僕に素晴らしい思い出をくれた、大切な場所でもあります。

背表紙はグラデーションのかかった灰色地に黒文字。
そして上側に黄色の帯があるのが目印!
古本屋で見かけたら、即買いだ〜!!

…しかしこうやって布の上に置くと、ただの文庫本が
急に高級に見えてくるから不思議ですナ♪(笑)。

さて、この『ファンタジーRPGクイズ』。
百戦錬磨の冒険者たちが集まって、互いに自分たちの経験を
元にしたクイズを出し合い、丁々発止の論戦を繰り広げる、
(そしてその様子を芝居のト書きのような形式で再現?してある)
という趣向の読み物で、いわゆるTRPGの解説書の一種なのですが、
とにかく登場人物が魅力的で、個性にあふれているのには驚かされます。

例えば、
「冒険を初めて、最初にもっていく武器は何がいい?」
などという単純な問いに対しても、

「俺ならアレにする」「いやそれは間違いだ、我輩なら…」「結局魔法が一番やん」
「魔法はむやみに使ってはいけません、そもそも…」「うるさいわい!」
「ああ、喧嘩はいけませんわ…!」
「もう、また脱線してる。私なら…」
「それより、二言しゃべってる奴がいるのが俺は気に食わないね」「ええ、どいつもこいつもやかましい!」
「あっ、三言だ。ずるいや」「い、いや、だからみんな俺の出している問題を…;;」


…てなあんばいに、みんな好き放題に議論を繰り広げてくれるのです(笑)。

…が、もちろんこんな問題の正解が「たった一つ」なはずがありません。
各自の職業や性格、そのときの状況でいくらでも答えは変わるんですから。
(いちおう出題者の言う「正解」はありますが、それも個人の主観に過ぎません)

したがって登場人物たちの議論は延々と続き、脱線し、
時には誰かの機転が出題者の「正解」をひっくり返し、また議論は続く…

「正解のないクイズ」
「いつでも戻ってきて、また考え直せるクイズ」


…五竜亭シリーズがこう呼ばれる由縁です。

そして我々読者は、「愉快なファンタジーのクイズ」に
頭をひねっているようで、本当は

「個性って、なんなのか?」
「人と人との関わりとは?」


といった「真の難問」に頭をひねっていたのかも、知れません。


*  *  *  *  *  *


…とまあ、こんな素晴らしい『五竜亭』なんですが、
残念ながら、本編4巻とTRPGのルールブック1巻が出たのみで
現在は中断状態となっています;;
(本もすべて絶版とか。トホホ(TT))

うむぅ、こんな素晴らしい作品世界が消えていくのは残念でたまりません。
雑誌の半ページ記事でもでいいから、何とか復活して欲しいものですねぇ…(涙)

※なお、これらの本はたまに古本屋でも見かけますので、
これを読んで興味を持たれた方、ひとつ探してみては?(^^)



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